第4回 : M さん 設計経験22年
◆ 実家の業務と違う道に
実家が電気工事を行っており、大学進学のときにわざと親と違う方向の機械工学を専攻。
そこから機械設計の道に進むことになる。
◆ 工作機械メーカで個別仕様の設計対応
大学卒業後は、工作機械メーカでお客様仕様の設計を担当。
工作機械に付属するローダやロボットおよびワークの周辺装置などは、お客様の仕様で個別設計する必要がある。
最初は構造の理解や設計要素の見極めなど、たいへん時間がかかった。
当時はCADなんか無くて、ドラフタでの手書きで設計図面を作成。
◆ 設計ミス : ロボットが機械の開口部から入らない
工作機械のワーク搬送用ロボットが装置内のワークを取りに行くが、そのロボットは限定した動きしかすることができず、開口部が小さくて内部のワークを取ることができなかった。
指示された図面は内部に入った状態で描かれていたため、自由度の高いアームロボットと思い込んでしまったことが設計ミスの要因。
実際には自由度が少なく、一定の状態で装置内に入ってワークを取り出さないといけないのに開口部があまりにも小さい設計になってしまい、後でカバーを切り欠くなど大騒ぎになった。
ちょっと確認すれば分かることだが、思い込みと確認不足が招いた設計ミスの代表例である。
◆ お客様から「完璧だった」と褒められたこと
あるチャンバーの設計で 6°の傾きを持つ部分があり、これを2D-CADで設計するも完成品で穴位置が合わないところが続出。
そこで、3D-CADを使って設計することを提案し、かつ、レイアウトスケッチを使用することで間違いを無くす工夫を考え出した。
そのために必要なCADのマクロも独自に開発した。
その結果、数千個あるボルトの穴位置がすべてぴったりと一致することになり、お客様から「完璧だったよ」と言われたことが今でも記憶に新しい。
自ら3D-CADを使うことを提案し、各種取り組みの結果がうまく行ったことの喜びは大きかった。
また、これが3D-CADの本格導入のきっかけにもなった。
◆ 苦労したが、やりがいを感じた仕事
仕事として一番やりがいを感じたのは、やはりものづくりに最初から最後まで通して関わったことである。
仕様打合せから始まり、設計・組立・立合い・出荷・客先納入まで一貫して装置開発を経験したことは、設計者としての貴重な体験として自分の中で生きている。
その過程ではいろいろ大変なことがあったが、装置が出荷され、お客様のところで無事稼働して喜んでもらえると、その苦労も吹き飛んでしまう。
これがものづくりの楽しいところでもあり、やりがいでもあると感じる。
◆ 今後は設計という仕事を楽しむこと
現在は仕事もマンネリ化しているためか設計業務に楽しみを感じることが少なくなっているように思うので、小さなことでも楽しみを見つけ出すよう工夫して、楽しみながら仕事がしたいと思う。