第31回 : Yさん 設計経験10年
◆ 高校・大学と電気関係で、電気設計の分野に!
高校は電気系で強電関係を学んだが、強電関係は電力会社等の道しか無いため、大学はより職業選択幅の広い電子工学で弱電系を学ぶ。
◆ 卒業後は電源メーカに就職
卒業後は直流安定化電源を開発する会社に就職。
そこでは製品の性能試験を行う部署で落雷試験や静電気試験・EMC(ElectromagneticCompatibility)試験などを行い、問題点があれば対策を行った。
やってみないと分からないことも多く、例えばコンデンサを入れる位置で特性が大きく異なることもある。
試験は耐圧試験など破壊試験に近いものが多く、コンデンサやFETが爆発するなどあまり気持ちが良い試験ではなかった。
さらに試験装置が少ないために壊れた箇所は修理する必要があり、試験納期もあって切羽詰まった状況で仕事をしていた。
精神的にも辛いので、設計派遣会社に転社
◆ 設計派遣会社に転職するが・・・ 設計派遣会社では工作機械メーカに派遣され、電気制御回路や制御プログラムの設計を担当する。
ところがリーマンショックの頃にその会社の状況が急変し、廃業になる。
途方に暮れていた時に、派遣先の紹介でアルパイン設計に入社することになる。
もちろん派遣先での業務継続が条件となる。
◆ 研削機の電気制御を担当 工作機械メーカでは研削機の電気制御を担当しており、お客様によって変わる仕様に応じてシーケンス変更などをしている。
標準の制御はあるのだが、特殊仕様になると条件設定が難しく、なかなか思い通りに動いてくれない。
膨大なラダー図とのにらめっこで原因調査・対策を行う。
◆ サンプル回路を真似て失敗
設計の中での失敗は、前機の回路を参考に設計したところ、仕様にないインバータ回路までつけてしまった。
動作的には問題ないが、インバータ分コストアップになってしまった。
そのほかには、組立現場への出図納期を見過ごして、電源ONの当日まで図面やソフトの準備をしていなかった。
ステップ確認を行うことで何とか時間稼ぎして周りのベテランの人に助けてもらって急場をしのいだ。
また、プログラムの入力ミスで、本来は機械が動作するはずがクーラント(冷却液)が出るというような、思いもかけない動きをして叱られたこともある。
◆ 現地出張員から強烈な怒りの電話 海外向け装置で部品間違いやソフト間違いがあり、機械を設置している現地の出張員から猛烈な怒りの電話があった。
こんな時には相手も気が立っているので平謝りするしかないが、そんな中でも現地の状況を聞き出す必要がある。
トラブル対応は最優先で取り組む事項であるが、どんな状況で問題が発生しているのかをよく聞いて対策を考えないと間違った対応になる。
出荷試験では問題ないが、実際には現地の装置との連結などもあり、機能的に現地しか分からないこともあるのだが、それでもすべてが設計の責任になるという辛さがある。
◆ 今後の目標は不具合を出さないこと 今までの経験を活かして、新規製品でも不具合を出さないようにしたい。
また、数多くある機種のどれにでも対応できるようになりたいし、仕様を決定できる力をつけたいと思っている。