第39回:Sさん 設計経験1年
◆ 大学でロボコンがやりたくて機械を専攻
大学で機械工学を専攻した理由は、ロボコンがやりたかったため。
非常に限られた予算で、設計技術も加工技術も未熟な者が寄り集まって、一つの目的に向かって突き進むのが楽しく、幸いにも国内大会で優勝することができ、世界大会にも出場した。
この経験を通して、自分の想像するものが形になることに魅力を感じ、将来は設計関係の仕事に就きたいと思った。
しかし、丁度リーマンショックの影響で各社内定取り消しなどで就職先が無く、他の職業に就いていた。
◆ 半導体露光装置の構造と熱・流体解析を担当
アルパインに入ってからは解析業務を担当。
そんな中で半導体露光装置の解析を担当したが、その要求精度は桁違いに厳しい。
その精度を得るためには、熱・流体解析と構造解析の連成で解を求めることも多いが、熱・流体と構造は技術的にも違いがあり、双方の技術を習得するだけでもたいへん苦労する。
さらに解析ノウハウが加わるため、新しく担当する人には技術的な障壁が高いように感じる。
そこで、現在は自分が関与した事項に関して、マニュアル作りを始めている。
これができれば、誰でも比較的簡単に解析に取り組めるようになるはずである。
◆ 設定値のミスで大きな時間のムダが!
解析は信頼が命であり、一つの設定ミスに気づくのが遅れれば、「正解に近い全く違うもの」を生むこともある。
設定値は依頼先から提示されるものがほとんどだが、ミスの原因は、提示された値が違っていたり当方での入力ミスなどがあり、大半は人為的ミスといえる。
しかし、その設定で1週間後に解析結果がおかしいと分かっても、時間のムダは取り返せない。
設定値のミスには十分気を付けないと、たいへんなムダが生じてしまう。
◆ 資料のミスで取引先からお叱りを受ける
依頼先の製品化検討会議に出した資料にミスがあり、後日、資料がおかしいと判明してお叱りを受けた。
その資料は、まとめるのに時間が無くなり複数人でまとめたものだが、途中で図と結果にずれが生じてしまっていた。
これを使って実際に設計する設計者が結果に疑問を持って判明したものだが、この件からは資料の確認にはチェックリストを用い、複数人で確認するようにしている。
また、グループ内の各人の業務がバラバラなので、週1回は業務内容のすり合わせを行い、お互いに理解し合えるようにしている。
◆ 自分の関与したものが製品化されることに達成感
自分の携わった箇所が製品化に向けて動き出すと、苦労して取り組んだ分だけ達成感も大きいものがある。
また、その業務の中で多くのことを学ばせてもらえたという経験が、自分の中で何よりも財産になっていると感じる。
◆ 座右の銘 : 「鶏口牛後」
大きな組織より小さな組織で、自由度を持って動きやすく活動する方が自分には合っていると感じている。
◆ 今後の目標
いろいろな情報を収集し、それを糧として技術力・想像力を磨いていき、設計者に対してどんどん提案できるようになりたい。